「そんなことより、こんなところでたむろしている時間があったら、捜索を続けなさい」

全くだな。

「あと探してないのは…部室棟と、あとは校舎の一階付近だな」

「部室棟は、僕と天音さんで探しましょう。…良いですよね、天音さん」

「うん、勿論」

よし。

じゃあ、部室棟方面はナジュと天音に任せて良さそうだな。

「私は職員室を探してきます」

と、イレースが言った。

職員室は、まだ捜索が完了していない一階にある。

普段、誰よりも職員室で過ごす時間の長いイレースなら、適任だろう。

そして、令月とすぐりの二人は、グラウンドを探してくれている。

シルナは何処にいるんだろうな?

多分、校舎内の何処かを探してるんだろう。

俺も、シルナと共に校舎内の捜索を続けよう。

「分かった。じゃあ、俺も校舎に戻る。皆、手分けして探そう」

「うん、分かった」

「はいはい、分かりました」

「すぐに向かいます」

天音、ナジュ、イレースの順でそう言った。

誰も、俺も…敢えて、迫りくる制限時間のことは言わなかった。

言わなくても、皆分かっていることだ。

いちいち口にする時間が惜しいし、それに…。

制限時間のことを気にしていたら、余計に焦りが募るだけだ。

皆言われなくても、制限時間のことなんて百も承知なのだ。

分かっていて、冷静な振りをして探している。

だったら、俺も彼らの流儀に倣うべきだろう。

制限時間のことなんて気にしている暇があったら、少しでも早く探すべきだ。

俺はシルナの姿を探しながら、校舎内に入った。