「偽物まで紛れてるのか…」

とんだぬか喜びをさせられたものだ。

木箱を見つけただけじゃ、安心は出来ない。

中を開けて、本当に俺達が探しているガラスの靴なのか、確かめない限りは。

わら草履ってどういうことだよ、畜生。

「時間を無駄にしましたね」

うぐっ…。それを言うな。

思わず、気力が抜けてしまいそうになる。

「それでも、片っ端から開けてみるしかないだろ」

とにかく動け。動くしかない。

制限時間までに、一つでも多くの木箱を見つけ、片っ端から開けるのだ。

その中の一つが、「正解」の箱だろう。

「皆、もう一回手分けして探そう。本物の靴を見つけたら、もう一度集まるってことで」

シルナが言った。

…そうするしかなさそうだな。

俺は、黄ばんだガラスの靴の入った木箱を、床に放り投げた。

紛らわしいんだよ。

「やれやれ…。ご丁寧に偽物まで紛れ込ませてるとは。本物はちゃんと見つけられるんですかね?」

不吉なことを言うな、ナジュ。

何としても見つけるんだよ。

でなきゃ俺達は、全員ここでお陀仏だ。

それだけは、絶対に回避しなくては。