「シルナ!」

「羽久…?どうしたの?」

シルナは、二年生の教室を探しているところだった。

「ついさっき…ガラスの靴を見つけたんだ」

早速用件を話すと、シルナはびっくりしたように目を見開いた。

あまりにあっさり見つかったものだから、驚いてるんだろう。

俺もびっくりした。

「え、もう見つけたの?」

「あぁ。生徒のロッカーの中に入ってた」

「それは良かった。一安心…」

と、シルナが胸を撫で下ろしていた、そのとき。

「学院長。靴見つけた」

「俺も見つけたよ」

そこに、令月とすぐりがやって来た。

二人共、俺と同じく…木箱を片手に抱えていた。

…え?

更に。

「学院長先生!ガラスの靴、見つけました…!」

同じく木箱を抱えて、天音がやって来た。

…えぇ…?

すると。

「何をたむろしているのですか。そんな悠長なことをしている暇があると?」

顔をしかめたイレースが、教室に入ってきた。

イレースは、木箱を持っていない。

そして、もう一人。

「皆さんお揃いで、何か進展でもありました?」

イレースと同じく、手ぶらのナジュもやった来た。

全員揃ってしまった。

でも、ガラスの靴見つけたし…丁度良いのでは?

「見つけたんだよ、ガラスの靴」

俺は、自分が発見した木箱を見せながら言った。

…しかし。

「え、何で?僕も見付けたよ」

「俺も」

「ぼ、僕も…」

令月、すぐり、天音の三人もまた、ガラスの靴が入っているらしい木箱を持っていた。

…何で?

四足もあるのか?ガラスの靴…。

「シルナ…。宝箱は、3つも4つもあるのか?」

「いや、そんなはず…。ガラスの靴は一足だけのはずだよ」

じゃあ、俺達が持っているこの木箱って、一体。

もしかして、偽物…?

「ちょっと開けてみなさい。何が入っているのか」

「そ…そうだな」

イレースに促され。

俺達は、揃って木箱を開けてみた。