「よし…分かった。じゃあ、アトラスのところに案内してやるよ」

イレースの言う通り。

実物を見て、現実を見れば、人魚姫も納得するだろう。

そして、理解することだろう。

アトラスに恋をした自分が、いかに愚かだったか。

「…!是非とも、お願いしますわ」

よし。

上手く行けば、全てを諦めて、泡になって消えてくれるかもしれないな。

そういう意味では、絶対に恋愛成就しない相手を選んでくれたことは、プラスだったかもしれない。

さすが、頼りになるぜアトラス。

「ちょっと…私と羽久の二人で、聖魔騎士団に行ってくるよ」

「が…頑張ってくださいね」

「うん…」

傷心のシルナを、天音が労っていた。

人魚姫にまでおっさん呼ばわりされたのが、相当堪えているらしいな。

仕方ない。おっさんだからな。

それよりも…俺達は、人魚姫に現実というものを見せてやろう。

自分の恋が絶対に叶わないのを知れば、人魚姫も納得して帰ってくれるだろう。きっと。

そういう訳で。

俺とシルナは、人魚姫を連れ、イーニシュフェルト魔導学院を出て。

アトラスのいる、聖魔騎士団隊舎に向かった。