もしかして、一件落着したと思っているのは俺だけで。

実は、まだ何も解決していないのでは…。

…いや、そんなことは…。

少なくとも、『オオカミと七匹の子ヤギ』を撃退したのは事実だ。

それだけでも、立派な進歩。

「とはいえ、根本的な問題は何も解決していませんよね。イーニシュフェルトの里の魔法道具が、他にも現れないとも言い切れず…」

「う…。でも、一つ解決したばかりなんだから、当分は大人しくしてくれるんじゃ…」

「いやぁ、世の中そんなに甘くないと思いますけど」

嫌なことを言うなよ。

そういう不吉なことを言うと、本当に、

「…ん?」

ころん、と。

突然目の前に、二枚貝の貝殻が転がった。

「…何だこれ?」

「…貝殻…?」

貝殻…だな。

何でこんなところに、貝殻が?何処から現れた?

海からは遠いぞ、この学院。

「何処からこんなものが…」

しゃがんで、貝殻を拾い。

何気なく、パカッと開いてみた。

「…?…!それは!」

「は?」

開く瞬間、シルナが目を見開いたが。

時、既に遅し。

貝殻を開くと同時に、学院長室が光に包まれた。










「…わたくしの恋を、叶えてくださるのはどなた?」