じゅくが終わった後、またあの立派なお家に帰って。

シファちゃんと一緒に、パパとママ…お父さんとお母さんに、テストの結果を見せた。

学校で受けた小テストと、さっきじゅくで受けた個別テストを。

私やシファちゃんの方から見せたのではなく、ママの方から聞いてきたのだ。

「今日テストだったよね?見せて」って。

ママよく覚えてるね。

今日テストがあったことを覚えてる分、私より賢いんじゃないかな。

だって私今、記憶喪失なんだもん。

ママは、先にシファちゃんのテストを見た。

「うん。よく頑張ったね、前より上がってるじゃない」

と、嬉しそうなママである。

シファちゃんって頭良いんだね。

良いなぁ。私も頭が良くなれたら、もっと役に立つ…。

…。

…何の役に立つの?私…。

誰の役に立ちたいと思ってたんだっけ…?

決して、ここにいるお父さんとお母さん為ではないことは確かだった。

「このまま頑張ってね。この成績を落とさないように」

「うん。自信はないけど頑張るよ」

ママに励まされたシファちゃんは、素直にそう答えた。

シファちゃんは素直な良い子だなぁ。

それに比べて、私は…。

「ベリーシュは?ベリーシュのテストも見せて」

ママは、今度は私のテストを見たがった。

見たかったら、見ても良いけど。減るものじゃないし。

でも、見るなら、シファちゃんの前に見れば良かったかも。

シファちゃんの後だと、きっとあまりのギャップに、ひょえってなるよ。ひょえって。

まぁいっか。しょうがない。

こそこそ隠すより、堂々と見せた方が良いに決まってるよね。

別に恥じることじゃない。

分からないことを素直に分からないということは、恥ずかしくも何ともない。

むしろ、分からないことを分かってるフリして隠す方が、よっぽど恥ずかしい。

って、前に誰かが私に教えてくれ…、

「えっ…」

私のテスト、0点オールスター祭りを見て。

案の定ママは、ひょえってなってた。

ね?だから、ひょえってなるよって言っ…。

…言ってはないけど。

「ど…どうしたの?これ…」

「どうもしてないよ?」

「じゃあ、何でこんな…。…具合でも悪かったの?熱があったとか?」

具合?

…記憶喪失って、具合が悪いうちに入るんだろうか?

でも、少なくとも熱はないよね。

ピンピンしてるよ。身体の方は。

ただ、頭の中身の方は…かなり残念なことになってる。