そして、辿り着いた駅。

駅もまた、非常に綺麗で、立派な建物だった。

わー、凄い…。王都の駅みたいだ。

…あれ?王都?

王都って、何処の王都のことだっけ…。

…思い出せないことだらけ。

とにかく…私これから、列車に乗るんだよね?

じゃあ、切符を買わなきゃ。

列車って言うのは、切符を買ってから乗るんだって、私知ってるよ。

教えてもらったんだから。

それで、切符は何処に売ってるんだろう?

「?ベリーシュ、何やってるの?さっさと改札抜けるよ」

シファちゃんが、私に向かって言った。

改札って、何?

電車に乗るよ、ってこと?

「だって、私…切符買ってない」

「切符?定期券忘れたの?」

…定期券…?

「カバンに入れてるんじゃないの?…ほら、あるじゃん」

シファちゃんは、私のカバンのポケットから、小さな長方形のカードみたいなものを取り出した。

おぉ、そんなところにそんなものが。

シファちゃんってば、私より私のかばんの中身に詳しいなんて。

凄いね。物知りだ。

それで、このカードが何?定期券、って奴なの?

「行くよ」

シファちゃんは、切符も持たずにずんずん歩いていった。

切符ないのに…列車、乗れるんだろうか…?

不安に思っていると、シファちゃんは、金属製の機械に向かって、定期券というカードを翳した。

何やってるんだろう?

すると、機会は何かを検知したのか、ピピピッ、と音を立て。

小さなゲートが開いて、シファちゃんを向こう側に通した。

…!

…なんたる、ハイテクノロジーな機械。

今のそれ、どうやったの?

この機械は何だろう?凄い。

「?何してるの。早く来なよ」

ゲートを通り抜けたシファちゃんが、私に向かって言った。

私も…このゲート、抜けられるのかな?

恐る恐る、さっきシファちゃんがやったみたいに、カードを翳してみる。

私は駄目、って言われたらどうしよう。

やっぱり、切符を買ってこなきゃ駄目なんじゃないかな。

そう思ったが、しかし。

私がカードを翳すと、さっきと同じように、ピピピッと音がしてゲートが開いた。

おぉ、開いた。

開けゴマ、みたいだ。

このカードは、ゲートを抜ける為の合言葉みたいなものなのかもしれない。

一人で感動しているところに、シファちゃんが言った。

「あ、やば。もう来るよ。急がないと」

来る?

列車のこと?

どの列車に乗れば良いのか、私には分からないけど。

でも、シファちゃんについていけば良いんだろう。きっと。