そうこうしているうちに、私達は南方都市シャネオンに到着した。

ジュリス曰く、ここで『サンクチュアリ』の残党探しをするとか。

『サンクチュアリ』っていうのは、魔導師が嫌いな悪い組織らしい。

大部分は、既に捕まえたらしいんだけど。

まだ残ってるかもしれないから、お掃除するんだって。

しかし。

一日、南方都市シャネオンを歩き回って。

『サンクチュアリ』の残党らしきものは、何も見つけられなかった。

残党がいないってことは、良いことなんだろうけど。

一日駆けずり回って、何も見つけられなかったとなると、ちょっとげんなりする。

疲れただけじゃないか。

結局、何も見つけられず日が暮れて。

私達は、王都セレーナに向かう列車に乗り込んでいた。

何だか、あれだね。

ただただ、シャネオンをお散歩して帰るみたいだ。

「つまんなかった」

「…観光しに来てる訳じゃないからな?何も見つからなくて良かったじゃないか」

「こんなことなら、お土産にお饅頭の一つでも買えば良かった…」

「だから、観光じゃないんだっての…」

でも、これじゃあただのお散歩だよ。

お散歩なんて王都でも出来るのに、わざわざシャネオンまで来てお散歩するなんて。

豪華なお散歩だ。

「足が疲れた…」

「良かったな。今夜はよく眠れるぞ」

そっか。そうかも。

最近、変な夢ばかり見て、あんまりよく眠れてないから。

ぐっすり眠れるなら、シャネオンのお散歩も悪くない。

と、思っていると。

「…そういやベリクリーデ。お前、聞いたか?」

ジュリスの方から、その話を切り出した。

「ほぇ?」

「イーニシュフェルト魔導学院のことだよ。シュニィから聞いたんだが…。何だか厄介なことになってるらしいな」

…厄介なこと?

そういえば…何だか、この間の会議で聞いたような…。

「聞いた気はするけど…眠かったから、よく覚えてないや」

「…お前って奴は…」

「えへへ」

「褒めてねぇよ」

え?

「俺達がこの間被害を被った、例の『白雪姫と七人の小人』とかいう魔法道具…。あれの親戚みたいなモノが、学院に現れたらしい」

「親戚?」

「どうもその魔法道具は、特定の人間のドッペルゲンガーを作り出すことが出来るらしいぞ」

…どっぺるげんがー?