私の左手の人差し指には、以前、白雪姫の一件のとき。

ジュリスと結婚式を挙げたとき、ジュリスが指に嵌めてくれた指輪が、キラキラと光っていた。

「うん。だってジュリスがくれたものだから」

ずっとつけてるんだよ。

「ふーん…。まぁ良いけど…。何で人差し指につけてるんだ?」

え?

「人差し指じゃ駄目なの?」

「いや、駄目ではないけど…。嵌める指によって、意味が違うの知ってるか?」

「?知らない…。人差し指はどういう意味なの?」

「左の人差し指は、行動力や積極性を高める、みたいな意味だな」

…へぇ〜…。

ジュリス、物知りだ。

「行動力かー」

「…お前、行動力だけは無駄にあるからな。これ以上高めなくて良いぞ。むしろ大人しくしておいてくれ」

「じゃあ、ジュリスはどの指につけたら良いと思う?」

「そうだな…。お前なら、右手の中指が良いんじゃないか?」

…右手の中指?

「えぇっと、右手がこっちで、中指は右から二番目…?」

「…ベリクリーデ。それ左手。あと、中指は真ん中だ、真ん中の指」

そっか。両手の指を見分けるのって、難しいね。

ジュリスが右手の中指を指差してくれたので、やっと分かった。

ここかー。

「ここに嵌めると、どうなるの?」

「邪気を払って、直感力を上げてくれるらしいぞ」

「じゃき?」

「悪い気ってことだよ」

へぇー。面白いね。

ジュリスが勧めてくれたから、じゃあ右手の中指に嵌めてようっと。

「つけたよ、ジュリス」

「あぁ。…って言うか、それ元々エンゲージリングだから、左手の薬指に嵌めるものだったんだが…」

「…えんげじ?」

「あ、いや。良いよ、好きなところに嵌めてくれ」

そっか。じゃあそうしよう。

「ジュリスは指輪嵌めないの?」

ジュリスも持ってたよね。お揃いの指輪。

「俺は…だから、誤解を招きかねないからやめておこうと…」

5階?

ここ地上だよ?

「ジュリスも嵌めようよ。お揃いだよ?綺麗だし」

「…俺はお前みたいに、小さい女の子が玩具の指輪を嵌めるノリにはなれないんだよ」

そっか。

ジュリスは変わってるなー。