きちんと身だしなみを整えて。

私はジュリスと共に、王都セレーナの駅に向かった。

そこで、南に向かう列車の切符を買った。

人が多くて座れなかったら嫌だなと思ってたけど、朝の通勤通学ラッシュのピークは、既に過ぎていたようで。

私とジュリスが座る席くらいは、余裕で空いていた。

良かったー。

「座れて良かったね、ジュリス」

「そうだな。…ほら、ベリクリーデ。これ食べろ」

席に座ると、ジュリスが持参したランチボックス(朝ご飯だけど)を差し出してくれた。

「何?」

「フィッシュサンドだよ」

「…ふぃしゅ?」

「魚な。魚」

お魚かー。お魚サンドイッチ。

ランチボックスを開けてみると、美味しそうなお魚サンドイッチが入っていた。

わーい。美味しそう。

「ジュリスが作ったの?」

「ん?あぁ。お前のことだから、どうせ寝坊すると思ってな」

さすがジュリス。私のこと、よく分かってる。

「いただきまーす」

「どうぞ」

もぐ。

もぐもぐ。

…ごくん。

「これ美味しいよ、ジュリス」

「そりゃ良かったな」

お魚のサンドイッチだから、生魚がパンに挟まれてるのかなぁ、何だか気持ち悪いなぁと思ってたら。

全然気持ち悪くなかった。美味しい。

「ジュリスは料理するのが上手だね」

「お前が下手過ぎ…。いや、まぁ長いこと生きてりゃ、大抵のことには慣れるもんだよ」

「そっかー」

「ちょ、こら。パンくずをポロポロ溢すんじゃない」

もぐもぐ。美味しい。

「それと、お茶もちゃんと飲め」

ジュリスが、水筒のコップを差し出してくれた。

わーい。

ごくごく。

「ジュリスのご飯は美味しいね」

「良かったな」

「これは何のお魚?金魚?」

「…普通に、スーパーで売ってる白身魚だよ」

「そっかー」

何のお魚かは分からないけど、でも美味しいね。

もしかして、ピラニアかな?

美味しいから何でも良いや。金魚でもピラニアでも深海魚でも。

私がふぃしゅサンドをもぐもぐしていると。

ジュリスが、ふと私の指に目を留めた。

「…ん?ベリクリーデ、お前それ…」

「ほぇ?」

「指輪、まだつけてたのか」

…指輪?