取り残された、俺とシルナは。

「うぅ…。イレースちゃん、手厳しい…」

半泣きのシルナである。

「お前がさっさと、怒られる前に仕事を終わらせておかないからだろ…」

これまで、一体何回イレースに怒られたよ。

いい加減、お前も学習しろ。

イレースに怒られる前に、さっさと済ませておけよ。

毎回、怒られるまで後回しにするんだから。

小学生の夏休みの宿題かよ。

「そりゃ、ちゃんとやるよ。私だって」

「…本当かよ…」

「本当だよ。…このチョコまんを食べ終わったら、絶対やる」

「…」

…とりあえず、お前の優先順位の一位はチョコまんなんだな。

明日から本気出す精神。

まぁ、お前はそういう奴だよ。

そんなこと言って後回しにし続けた結果、イレースに怒られるんだろうなぁ。

俺が怒られるんじゃないから。怒られるのはあくまでシルナだけだから。勝手にすれば別に良いけど。

「ほら、書類仕事をするには、糖分がね?糖分が必要だと思うんだよ。頭を使うからね」

「お前は仕事してないときでも、いつも糖分ばっかり摂ってるだろ…」

「はー。チョコまんうま〜!」

…聞いてないし。

ちょっと、もう一回イレースを呼んできて、説教し直してもらった方が良いんじゃないか。





…と、思っていた、そのときだった。

「失礼しますよ」

「ぶはっ」

噂をすれば、という奴か。

学院長室に、イレースが舞い戻ってきた。

シルナが思わずチョコまんを噴き出していた。きたねぇ。