「真菜さんが、暗い顔で元気がなくなれば、俺との話も弾まなくなると思ったらしいです。あわよくば、怖くなって仕事を辞めてくれたらって。でも真菜さんは、いつも変わらず明るく笑顔だった。それで、さらに酷い事を…」

 新郎は、堪え切れなくなって涙を溢し始めた。

 「あいつ、闇バイトを雇って真菜さんを…。精神的にダメージを負わせようと、真菜さんを尾行するように頼んだんです。すみません、本当に、申し訳…ありません」

 涙で言葉を詰まらせながら、新郎は何度も頭を下げる。

 真菜は驚いて息を呑んだまま、身体を強張らせた。

 真はテーブルの下で、真菜の手をギュッと握る。

 こちらに視線を向ける真菜に、大丈夫だと頷いてみせた。

 「本当に申し訳ありません!亜希は、警察に突き出されるような、犯罪を犯したんです。いや、俺も無関係ではない。あいつにそんな事をさせたのは、俺にも責任がある。それに、あいつの思惑に気付いて止める事も出来なかった。真菜さん、本当にすみませんでした!でも、どうか…お願いです。あいつを見逃してやってもらえませんか?すみません!勝手な事を言ってるのは分かってます。でもあいつ、警察に捕まったら、もう二度と立ち直れない。生きる気力を失ってしまう。そんな、そんな事は…どうか、お願いです」

 新郎は、ひたすら頭を下げながら懇願する。

 真は、真菜の手を握りながら、そっと様子をうかがった。