数日後。

 フェリシア 横浜のサロンで、真菜と真は、新郎の園田と向き合っていた。

 「この度は、大変ご迷惑をおかけしました」

 そう言って深々と頭を下げる。

 「園田様、顔を上げてください」

 真菜が声をかけるが、新郎はうつむいたままだ。

 よく見ると、肩を震わせている。

 「すみません、こんな…。亜希が、まさかこんな事をするなんて…」

 新郎の気持ちが落ち着くのを、真菜と真はただひたすら待つ。

 昨日、本社の真のところに新郎から電話があった。

 新婦から全てを聞いたらしい。

 真は真菜に、新婦の亜希が、真菜宛に不審な手紙を送り、間違えて自分が開封した事だけを話した。

 カミソリの刃や脅迫文には触れず、切り抜いた文字をデタラメに貼り付けただけの妙な物で、すぐ捨ててしまったと伝えてあった。

 そして、新郎が話があるらしいから、自分と一緒に聞いてもらえるか?と話すと、真菜は驚きつつも何かを察したように頷いた。