「すまなかった。仕事中でもないのに、こんな話…」

 いえ…と首を振ってから、真菜はどうにも気になって聞いてみる。

 「あのー、やっぱり齊藤さんは…、あ!あの私じゃなくて、あなたの齊藤さんですが」
 「ぶっ!あなたの齊藤さん?」

 ははっと笑ってから、真顔に戻って真菜を見つめる。

 「(まこと)だ」
 「え?」
 「俺の名前」
 「あ、そっか、真さん」
 「それで?俺が何だって?」
 「えーっと、あ、そうそう。やっぱり真さんは、本部の方なんですか?先日、エリア統括マネージャーと一緒にいらしたから、ひょっとして人事異動で次のマネージャーさんになるのかなって。でも正式な発表までは、教えられないですよね。聞き流してもらっていいです。気にしないでくださいね」

 一人で完結してコーヒーを飲んでいると、真がゆっくり話し出した。