「まあまあ、ようこそ!お待ちしてたのよ。さあ、入ってちょうだい」
 「は、はい」

 玄関で、綺麗な50代の女性に出迎えられ、真菜は緊張気味に靴を脱ぐ。

 (この方が真さんのお母様?凄くお綺麗、若い!うちの、ザ・おばちゃん!みたいなお母さんとは違うわー)

 そして、どうぞ、と通されたリビングに、真菜はまたもや驚く。

 (広い!何ここ、ホームパーティーとか出来ちゃうよね?)

 キョロキョロしていると、にこにこと笑みを浮かべた、社長に良く似た顔の男性がソファから立ち上がった。

 「これはこれは。初めまして。真の父の(すすむ)です。こっちは家内の和歌子(わかこ)
 「初めまして」

 にこやかに頭を下げられ、真菜も慌ててお辞儀する。

 「は、初めまして!齊藤 真菜と申します。よろしくお願い致します」
 「あら?齊藤って…。もう入籍済ませたのね?あなた達」
 「あ、いえ、違うんです!」

 真菜は手を振って否定する。

 「たまたま名字が一緒なんだ。ちなみに漢字も同じ」

 真が言うと、父親は、お?と驚いた。

 「へえー、じゃあ、うちと親戚なのかもね」
 「と、とんでもない!うちはこちら様とは違って、庶民の中の庶民でございます」

 ぶっ、と真が吹き出す。

 「真菜、お前、男の中の男!みたいだな」
 「ええ?私、一応女なんだけど…」
 「だから、そうじゃなくて!」

 すると母親が笑い出す。

 「まあ、なんだか楽しそうね。さ、どうぞ座って。今、お茶をお持ちしますね」
 「あ、私もお手伝いに参ります」
 「あら、いいのよ、そんな」
 「いえ。チーズケーキをお持ちしたので、もしよろしければこれもご一緒に…」
 「まあ!チーズケーキ?嬉しい!じゃあそれも頂きましょう」

 そして、二人でキッチンに立つ。