(うー、結構飲んじゃったな)

 ふわふわする足取りでなんとか寮に戻り、202と書かれたポストを開けて中身を取り出した真菜は、階段で2階へ上がる。

 鍵を開けて部屋に入ると、手にしていた封筒をテーブルに置いてベッドに座った。

 (ふう。今日も早めに寝よーっと)

 足元に置いた鞄から、ミネラルウォーターのボトルを取り出そうとした時、ふと拓真にもらった写真が目に入った。

 家に帰ってからゆっくり見なさいよね、という希のセリフを思い出し、そっと残りの写真をめくってみる。

 ベールアップのあと、新郎が真菜の両肩に手を置き、見つめ合っている写真。

 そしてその次は。

 そっと目を閉じた真菜に、首を傾げながら優しくキスしている新郎…

 一瞬、雑誌の切り抜きかと思ってしまう程、絵になる1枚だった。

 けれど写っているのは確かに自分だ。

 (はあー。どうすりゃいいのさ、こんな写真)

 酔っていなければ、見る勇気も出なかったかもしれない。

 (拓真くんが撮ってくれたものだから、捨てる訳にもいかないし…。とにかく、封印だな)