「挙式は、新郎新婦のお支度が整い次第始めます。5分前位にインカム流しますので、列席者への説明や、席を外されている方の誘導をお願いします。扉が開くと同時にオルガン演奏スタート、新郎新婦とお子様の三人でご入場、あとは通常の流れです。指輪の交換に関しては、その場で私がお二人におうかがいします。退場後、隣のスタジオで写真撮影に入ります。まず初めに集合写真、その後お二人とお子様のお写真をお願いします」
 「はーい、了解です」

 拓真が再び返事をする。

 「そして、挙式と並行して、ご友人の方々がお見えになります。直接、披露宴会場にご案内して下さい。集合写真を撮ったご列席の方々も、すぐに披露宴会場に入って頂きます。少しヘアメイクを整えてから、新郎新婦とお子様が、披露宴会場に入場。ご友人の方々も合流されたこのパーティーが、2度目のサプライズとなります」

 私からの説明は以上です、と真菜が顔を上げる。

 「真菜、ありがとう。みんな、当日は、必ずお客様1人1人のお名前を確認して下さい。ご友人なのか、お身内の方なのかを間違えない様に。あとの詳しい事は、追って連絡します。前日の最終ミーティングまでに、それぞれイメージしておいて下さい。それでは、続いて齊藤専務、よろしくお願いします」

 久保に促され、真が顔を上げる。

 「私からは、本社で決まった事をお伝えする。既に知っていると思うが、当日テレビ局の撮影が入る。撮影者は新婦のお兄様だ。他に、うちの映像事業部から撮影カメラマンが二人来る事になった。ただ、テレビ放送されるかどうかは分からない。ご両親は、おそらく新郎新婦がNGを出す事はないだろうと仰っていたが、使われるかどうかは、テレビ局の判断に委ねられる。我が社としては、宣伝効果も考え、是非使ってもらいたい。だが、君達はテレビの事は気にせず、とにかく新郎新婦やゲストへの対応に集中して欲しい。この結婚式がお二人やご家族、そしてご友人の皆様にとって幸せな時間となるよう、心を尽くして欲しい。よろしく頼む」
 「はい!」

 皆は、気持ちを1つに声を揃えて頷いた。