6月9日。
 サプライズウェディングを翌週に控え、フェリシア 横浜では、スタッフが一堂に会し、念入りに打ち合わせを行っていた。

 「まず、タイムテーブルに沿ってご説明します。新郎新婦の入り時間は17時半。新婦様のご両親である田辺様ご夫妻が、新郎新婦のお二人と、お二人の3才のお子様、(つばさ)くんと一緒に来店されます。お父様が運転する車で地下駐車場に入り、その時点でお二人に、ブライダルフォトをプレゼントしたいとお話されます。担当の私と美佳ちゃんが、地下駐車場でお出迎え致します」

 真菜の言葉を、皆は頷きながら聞いている。

 「そのまますぐに控え室に入って頂き、まずは新婦様にドレスを選んで頂きます。新婦様のドレスが決まり次第、ヘアメイクに取り掛かります。希先輩、新婦様のお写真をお母様から預かりました。あとでお渡ししますね。普段のメイクも軽めで、髪はロングだそうです」
 「了解。当日、ご本人からご希望を聞くわね」

 希の言葉に真菜は頷く。

 「よろしくお願いします。有紗さん、そんな訳で、ドレスもヘアメイクも当日まで分かりません。ブーケは有紗さんにお任せします。お母様のお話では、新婦様は、薄いピンクや水色などがお好きだそうです」
 「分かった。任せて!」

 有紗に頷くと、続いて真菜は拓真を見る。

 「新婦様のヘアメイク中に、新郎様に衣裳を選んで着替えて頂きます。そして様子を見ながら、ご両親が翼くんを、お手持ちのよそ行きの服に着替えさせて下さるそうです。そのあと、控え室の撮影をお願いしていいですか?」
 「オッケー。オフィスに待機してるから、インカムで呼んでくれ」

 真菜は、最後にぐるっと皆を見渡した。

 「他の皆さんは、ご列席の方のご案内をお願いします。新郎新婦と鉢合わせしない様、動線を決めてあります。基本的にお二人は控え室に入られたままですが、何かの事情でお部屋を出られる場合は、私がすぐにインカムでお知らせします」
 「了解です」

 皆が声を揃えて頷く。