石原と冗談を言いながら、残業を終えて稔は足早に会社を出た。



いつもの帰り道である、小さな公園を横切ろうと突き進むと微かに砂利が擦れる音がした。



稔はあまり気にせず、足を早めた。


そうしても、後ろから聞こえてくる砂利が擦れる音は稔に合わせて前進している。


流石に、不審に思い、振り向いた瞬間───


腹部に熱を感じた。


──と、同時に膝から崩れ落ちた稔。


痛みに耐えながら腹を抑え、暗闇に浮かぶ人物の顔を見た。


「………?!!」


「あ、あなたがいけないのよ?あたしを…裏切るから……ふふ…ふふふふ……」

狂っている。


稔は薄れ行く意識の中思った。


「ひ…ろ………か」


「ふふ…あなたが最後に呼ぶ名前が私だなんて…幸せよ……ふふ…………」