稔の残業は23時迄続き、会社を出て帰路を急いでいた。
携帯の充電が切れてしまい、友子に連絡が取れなかった為、心配をしているであろう愛妻に早く会いたかったのだ。
自宅に着くと、友子は玄関先に佇んでいた。
「ただいま。ごめん、携帯の充電切れてて…」
稔がすかさず謝ると友子は安堵の表情を浮かべ、お疲れ様、と呟いた。
その日以来、稔の仕事は年末に入り多忙を迎えていた。
「友子か?悪い、今日も遅くなる。」
簡単に電話を済ませ、フロアーに戻った稔を待ち構えた様に石原がニヤケ顔を作った。
「いや〜、ラブラブですな!」
「まぁな。愛妻家だからな!(笑)」
「嫌味なお言葉、ごちそうさまです!(笑)」