「お帰りなさい。」


笑顔で稔を迎えたのは、ピンクのエプロンを身につけた妻の友子だ。


「ただいま!いつも帰りが遅くてごめんな。」


「大丈夫よ。稔は体調とか悪くない?ご飯の用意してあるから先にお風呂にしたら?」


「あぁ。そうするよ。」


稔は二階の寝室に上がり、スーツを脱ぎ、風呂場へ向かった。



『幸せ』をまとった吉田家だった。


まだ若い稔と友子の気持ちは堅く、結婚を決めてマイホームもローンで買ったのだ。


仕事も家庭の為ならと残業を進んで受けていた稔。