仕事で残業になったが、思いのほか捗り帰路につく。

「内田さん!お先っす!」

先輩の内田に挨拶をし、フロアーを出た。



外はもう寒い。


マフラーを巻き直し、自宅へと向かう。


まだまだ社会人になって2年たらずな稔。


仕事を終え、自宅に帰る事がとても楽しみだった。


会社から徒歩10分程で住宅街が広がる。

その一角の二階建ての一軒家。

外壁は白をモチーフにされ、今時の内装である。


稔を待つのは、愛妻の友子だ。

稔は家の門の表札を見ながら顔の筋肉を緩めた。


「『吉田』かぁ〜」


満足したのか、足を進め鍵を開け、家に入っていった。