直子は今日も残業作業に追われていた。
「内田さん!お先っす!」
後輩の吉田に先を越され、フロアーには直子1人が取り残された。
「まぢ白状な奴だな、吉田!」
怒りなのか…まだ終わらない仕事を続ける為に吉田が去って行ったドアからパソコンに目線を移した。
"今日も誠と顔を合わさずにすれ違いか…"
ふと、直子の頭に恋人である誠の顔が浮かんだ。
年末に近づき、仕事の量が増え、最近は帰宅するのが御前様だった。
付き合って三年目の誠とは、一年前から同棲をしていた。
「これで…よし!」
最後の資料をまとめ、確認を済ませてパソコンの電源を切った。