靴を脱いでいると「おかえり」と返事が聞こえた。

涼の顔を見たら、なんだか申し訳なくなった。

なぜだかはわからないけれど、家を出たくなった。

「ご飯、もう食べた?」

気持ちを悟られないように、話を始める。

「ううん。待ってた。作ったから食べよ?」

「え…ホント?」

予想外の返答に事実かどうか確認すると、コクリと涼は頷いた。

少し心が温かくなって、自然と笑顔になった気がする。