太陽のような慎吾が眩しくて愛おしくて、里穂はキスしたくなってしまった。
 我慢するため、周りを見てそらす。

 ふと、カーテンを開けたら外はどんな風景なのだろうと部屋の奥に向かい、窓へ近寄った。
 触れてみると、布地ではなく厚手の紙だった。

 部屋の借り主が決まる時まで床を日焼けから守るためのものだと気づく。
 慎吾の言葉通り、入居したばかりのようだ。

 ……どうして慎吾はホテル住まいを辞めたのだろう。里穂はあらためて思う。

 機能的で定期的に清掃が入り、三度の食事の提供プラス服の洗濯も頼める。
 ホテル住まいに慣れてしまった客が「マンション暮らしが不便に感じる」と言ってるのを訊いたことがある。

 慎吾はCEOに同行して各地を飛び回っているはず。ならば、彼にとってホテル暮らしの方が都合がいいのでは。

「慎吾はなんで急に引っ越したの?」

 なにげなく問えば、ごほと慎吾が咳をした。そっぽを向いてしまった彼の耳が赤い。

「……その……、業務日誌に書かれた字から里穂と再会できると信じて……、速攻でここを買ったんだ」

 里穂は目を見開いた。

「私と、住む為に?」

 まさか。訊ねながら心臓が甘く高鳴る。