翌日から慎里は父を恋しがって玄関の方をしょっちゅう見る。  

 廊下へのドアを開けると高速ハイハイで移動し、いくら呼んでも玄関の前から動かない。 

 ドアが動こうものなら目をキラキラさせっぱなしだ。

 里穂はあと五つ寝れば、あと四つ……と数えながら慎里と二人、恋しい人が帰って来るのを待った。

 とうとうゼロになった。

 朝から慎里もそして里穂もそわそわして落ち着かない。

 いっそ空港まで迎えに行きたい。
 けれど、慎吾も疲れているだろうし荷物も大きいのに、里穂や慎里のことをきっと気遣ってくれてしまう。

 だから家で待つことにした。

 ピンポーン。
 インターフォンが鳴った途端、里穂はドアを開け、廊下に飛び出した。

「ただいまー。……おわっ」

 里穂は思わず抱きついた。
 慎吾は面食らいながらも二人を受け止めてくれる。