翌日は里穂も出勤である。

 バタバタと走り回り、息子と自分の支度をする。そして、電車を使って通勤してみて……いかに痛勤かを実感する。

 今まで、慎吾の車に同乗させてもらいどれだけ楽だったかを思い知った。

 慎吾の家に越してから、出かける時は常に三人。大人が歩く時は乳母車、それ以外は慎吾が運転してくれる車だった。

 なんとか圧に押しつぶされないよう我が子を守り、スクールのある本店に着いた時には母子ともども疲労困憊していた。

「慎里、泣かないで我慢してくれて偉かったね」

 息子を褒めてやる。