「慎里っ?」

 驚いた。
 ここまでの爆発は、みたことがない。……三人で寝るきっかけになった、初めての夜よりすごい。

「いやああああ、おとしゃ、おとしゃああああああ」

 暴れすぎて里穂の腕の中から落ちそうになる。 

 とっさに両手を差し出した慎吾は、汚れるのも構わず二人を抱きしめた。

「里穂、慎里……っ!」

 やがて、ぱっと二人を離すと身を翻し、ドアを凄まじい勢いで開けて閉めた。

 慎里は消えてしまった父を追いすがりたいように身を乗り出し、うわあああん、うわああああんと泣き叫ぶ。

 我慢できなくなり、里穂も一緒にわあわあと泣いてしまった。

 どれくらい二人で泣きあっていたろうか。
 里穂は自分の服で息子の顔を拭ってやる。ついでに自分の顔も袖で擦った。

 洗濯ついでに体も洗ってしまおう。
 今日はとことん、慎里と遊び倒すことに里穂は決めた。

「慎里、お風呂入っちゃおうか!」

 空元気で、腫れぼったくなった目を無理やり微笑みの形にしてみた。