別にいいけど。

「高校が、あ、私高一なんですけど。高校がこの近くにあって」

「へー、そういえばご両親は?オレが言うのもなんだけど挨拶って普通子供が来るものじゃないよね?」

「私一人で引っ越してきたんです」

私は手に持っているコップに茶柱が立っているのを見つける。

「一人暮らしかー。あ、この苺大福おいし!なんかこまっふぁことふぁあっふぁらいってれ?」

「すみません。口の中身食べ終わってから言ってください」

「あ、ふぉふぇんね」

口をパンパンに膨らませてしゃべっている圭一さんをみて、少し緊張がほぐれる。

「……ふー。何か困ったことがあったら言ってね?」

「ちゃんと聞こえてましたよ?」

「えぇっ?食べ終わってから言ってって言ったの麻織じゃん!」

「事実ですから」

「わお」

「わおってなんですかわおって」

……楽しい。

誰かと話してこんなに楽しかったのは久しぶりかもしれない。

「あ、もうこんな時間か」

「すみません、長居しすぎました」

「いいよいいよ。なんならご飯食べてく?」

「え、いいですよそんな————」

グゥ〜〜〜

「いい返事」