「……大丈夫です。じゃあ、お邪魔します」

「はい。どうぞどうぞ」

佐藤さんの家は、意外と綺麗にされていた。

佐藤さんの格好から、家も汚いと思ってたけど、そんなことなかったな……。

「そこに座って待て。お茶入れてくるから」

「あ、お構いなく」

「いいからいいから」

そう言いながらドタドタと台所に走って行った佐藤さん。

私は静かになった部屋を見渡す。

あまり広くはないけど部屋の特徴を活かしてコーディネートされている。

私も、真似してみようかな……。

「あっつ!」

不意に聞こえてきた佐藤さんの叫び声と、何かが落ちる音が聞こえてくる。

「大丈夫ですか?」

慌てて駆けつけると、佐藤さんは手を押さえて顔を歪めていて、そばにはやかんが落ちていた。

       * * *

「ごめん、お客さんにお茶の用意させて」

「危なっかしいんですよ、佐藤さんは」

「あ、名字同じなんだし圭一でいいよ」

火傷した手に氷を当てている圭一さんを横目で見ながらコップにお茶を注ぐ。

「私も、麻織でいいです」

「麻織はなんで引っ越してきたの?」

おー……。

いいと言ったとはいえ、呼び捨てにするの早いな……。