「隣に女子高生が引っ越してくる⁉︎」

俺がここに引っ越してきたのは住居者の女の人が少ないから。

なのに、隣の部屋に佐藤麻織という女子高生が引っ越してきた。

女子高生だから、俺のことを知っているかもしれないと警戒したが、そんなそぶりは一切見せなかった。

女という生き物は、人を顔で判断する恐ろしい生き物だ。

実際、学生の時に俺の顔に群がっている女たちがいて、俺はそんな奴らが大嫌いだった。

だからわざと俺の名前が出ているテレビをつけっぱなしにしてその場を離れても、問い出してくることもない。

なんでだ?

俺だと気づかなかった……?

いや、顔も出ていたからそれはないはずだ……。

この子は周りの奴らと何かが違うと思ったのは、この時からだった。

「麻織、学校は楽しい?」

「はい!友達もたくさんできましたし、何よりこうして圭一さんが話を聞いてくれていることがとっても楽しいです!」

……っ、やっぱり違う。

この子が……好きだ。

初めて女の子を好きだと自覚した瞬間は、思っていたよりもあっけなかった。

でも、好きな子が目の前にいると思うと、胸の高鳴りがおさまらない。

これが、恋か……。

思っていたよりも普通で、でも、思っていたよりも複雑。

「そっか、それはよかった」