「佐藤、入ってきていいぞ」

ふう……。

緊張する……。

ガラッ

私はなるべく上を向いて、でも少し下を向きながら教室に入って教壇に立つ。

「佐藤麻織です。趣味は読書です、よろしくお願いします」

パチパチパチ

「じゃあ席は……お、凛城の隣が空いてるな」

凛城さん……?

誰だろう……。

先生に呼ばれた凛城さんが誰だかわからなくて、教室内をキョロキョロと見渡す。

「佐藤さん!こっちこっち」

あ。

一番後ろの席の男の子が手を振ってくれていた。

「佐藤さん、俺凛城光一。よろしくね!」

私に握手を求めてきた凛城くん。