息も絶え絶えになったころ、ようやく唇から解放された。荒い呼吸のまま体がぐりんと持っていかれる。

「とっ、ともみつ、さっ……」

抗議の声を上げてみたけれど、智光さんは私を後ろから抱きしめ直して髪に顔を埋めた。

「ちょっと、あのっ……」

あれ、これ、なんか前にもあったような――。

直後に聞こえる、すうすうという寝息。

「……」

まさか、本当に寝ぼけていたの?

バクンバクンと心臓が激しく鼓動を打つ。
そうっと唇を触った。
まださっきの余韻が残っている。

……どうしよう、嬉しい。

動揺しているはずなのにどうしてか嬉しいと感じていた。
私、智光さんのことが好きだ――。

ずっとずっとこうしていたいとさえ思う。
腰に巻き付いている腕にそっと触れる。たくましくていつだってすがりたい、抱きしめていてほしい、どうか私を離さないでほしい。

どうしようもない気持ちを抱えたまま、目覚ましのアラームが鳴るまで私は智光さんの抱き枕としてじっとしていた。

智光さんのぬくもりがとんでもなく幸せだった。
智光さんもアラームが鳴るまでぐっすりと眠っていた。