あんなに不安で飲み込まれそうだったのに、智光さんのおかげで打ち消されてしまった。
それはありがたいことなんだけど……。
今度は逆に智光さんにドキドキしちゃって心が大騒ぎだ。
それはそれで困る。
智光さんの胸の中はあたたかくて心地良い。
ぎゅうって抱きしめられるとすべてを委ねたくなってしまう。
いつまでもこうしていたい。
私が落ち着いたのがわかったのか、智光さんはそうっと私を解放した。
それが少しだけ物寂しい感じがしてしまうのは贅沢なんだろうな。
今まで強く生きてきた自分はどこに行ってしまったのかと思うほど、弱くなっているのを実感している。
智光さんの優しさがひたひたと心に染みて私を満たしていく。
その後もお風呂上がりの智光さんの色っぽい魅力にあてられて落ち着かなくなったり、おやすみと頭を撫でられたり、心臓がいくつあっても足りない。
一日目にしてこんな調子でこの先智光さんと夫婦として暮らしていくことに一抹の不安が過る。
だって……。
私が智光さんのことを好きになりすぎてしまいそうで怖いんだもん。
布団に入ってもしばらくドキドキして眠ることができなかった。