智光さんが私の頬に触れる。
乱れた髪をそっと梳いた。
触れる指先の感触を敏感に感じ、体の奥が痺れる。

近づく唇にそっと目を閉じた。
直後に触れる柔らかな唇。
先ほどのキスとは違ってとんでもなく甘くて優しい。濃厚で魅惑的なキスはいとも簡単に私の体から力を奪っていく。思考を止める。

唾液が絡み合って糸を引く、まるで蜘蛛の糸に絡まって食べられる蝶のよう。だけど怖さなんて微塵もない。私のことを食べてほしい。

「……なんて顔してるんだ。キスだけじゃ物足りなくなるだろう?」

眉根を寄せた智光さんが熱を孕んだ甘い視線で私を見る。
智光さんの方こそ、そんな色っぽい表情を見たことがない。

「……ものたりない、です」

正直に言えば、智光さんが息をのむのがわかった。

「どうしてそう、可愛いことを言う……」

可愛くはないと思うけれど……。
でも智光さんにそう思われるなら本望だ。

何度も繰り返されるキス。
智光さんに溺れる私は自ら智光さんを手繰り寄せる。けれど甘く優しくなぞられる口内に翻弄された私は、身も心もとろとろにされて蕩けてどんどん力が抜けていく。まるでアイスクリームが溶けるようにゆっくりとベッドに沈み込んで――。

甘くて濃厚な口づけをしながら、智光さんの手が私のパジャマのボタンを外し始めた。流れるような手の動きはやがて私の敏感な部分に触れる。

じわっと電気が走ったみたいに体が反応した。

「ふあっ」

思わず漏れ出た声さえも食べてしまうように、繰り返されるキス。

恥ずかしいのに嬉しい。
智光さんが私を求めてくれているみたい。

「あっ……」

はだけた胸に智光さんはじゅっと紅い印を残した。

「と、智光さんも……」

私は智光さんのパジャマに手を伸ばす。智光さんの肌に触れたい、そう思った。