「ごめん、やえ。無意識とはいえ、そんなことを……」

「い、いえ、いいんです。だってほら、私たち夫婦ですし。それくらいのスキンシップは……あり……ですよ……ね?」

ああ、何を言っているのだろう。
本当ならキスのことは黙っておくべきだったのかもしれない。それなのに馬鹿正直に報告してしまって、智光さんが困っているのに。

気持ちが高ぶっているからだろうか。
欲張りになっているのだろうか。

本当はもっと智光さんに触れてほしいって思ってしまう自分がいて、このどうしようもなくもどかしい気持ちの抑え方がわからなくなっている。

「それは、キスはしてもいいということか?」

「えっ? あ、ま、まぁ、ふ、夫婦ですし……きゃあっ」

背を支えられながらもベッドにぽふんと押し倒され、目の前に智光さんの綺麗な顔が迫る。すでに目はぱっちり開いており、完全に覚醒しているようだ。

「もう一度聞くが、キスしてもいいんだな? 夫婦だから」

「……いいです。夫婦なので」

再度の確認は、これからキスをするということを前提としているようで大きく胸が高鳴った。

緊張もしている。
恥ずかしい気持ちもある。
けれどしてほしいという気持ちも大きくて……。

こんなの私らしくないって思うのに、それでも智光さんに受け入れてほしいって心が叫んでいる。
どうか私のことを求めてほしい――。