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 その日、昼過ぎからハリスとリリアナは魔牛のツノ収集というガーデン管理ギルドからの依頼を受けてこのエリアに来ていた。

 乳白色の魔牛のツノは磨くと独特のマーブル模様と風合いが出るため、調度品や装身具の材料として貴族たちの間で人気が高い。
 その上、蹄や皮も売れるし牛脂や肉も鮮度が良ければ高額で売れるという、素材ハンターたちにとって魔牛は依頼の有無に関わらず遭遇したら積極的に狩りたい魔物だ。

 今回はガーデン管理ギルド内の掲示板にあった【急募! 魔牛のツノ 大きければ尚よし】の貼り紙を見たふたりの意見が一致した形でこの依頼を受けた。
 一致といっても少々ズレはあったのだが。
 急を要する依頼は通常の買取価格よりも査定額が2割ほど上がる。
 そういう意味でハリスが美味しい依頼だと言ったのに対し、リリアナは魔牛を丸ごと1頭食べる気まんまんで
「そうよね! 美味しそうだわっ!」
 と、いまにも涎を垂らしそうな顔で言ったのだった。