聖女についてを探ろうとしていたけど、まさか王宮内で何かが起こっているなんて。

 王家を支える身分である公爵家の人間が、事情を知らないというのは流石に情けない。

「実は、ここ最近母上の容態が悪くて……聖女様の力があれば解決するんじゃないかなと思って色々と調べているんだ」

「ダニエラ様が……」

「この事は誰にも言わないでくれる?」

「もちろんよ。何か協力出来ることがあったら言ってね」

「ありがとう。エリーザ姉様もあまり無理はしちゃいけなからね?ミルズ男爵令嬢が開発した薬で今は良くなったけど、母上も最初は喘息のような症状も出ていたし……」

「安心して。私はこうしてフォルスに優しく声を掛けて貰ったらもう良くなったから」

 殿下とサラに対しての感情は消えた訳じゃない。

 でも、これで良かったと言い聞かせて、あとはサラの聖女としての力を引き出す方法を一刻も早く見つけ出さなきゃ。

 私を本当の娘のように可愛がってくれる大切な人が苦しんでいるんだから。

 今回の人生を自分の手で変えているつもりでも、本来の道に引き寄せようと運命が動き出しているのかもしれない。