サラが編入して来てから早もう一ヶ月が経った。
これまでと同じ道を辿らぬように生活していく中で、私は大きな誤解をしていたんだと気付かされた。
「サラ?何度も言わせないでくれるかしら?」
溜め息を吐いた先に居るサラは、呆れた声で呟く私に怖がる素振りも見せない。
寧ろ喜んだ顔で私に笑顔を振りまいてくる。
「新しいペンが欲しいとは言ったけれど、こうもなんでも私に貢ぐようにプレゼントしないでっていつも言っておりましてよ?」
「良いんです!父と開発した薬の売り上げが良くて、お小遣い弾んじゃって。だからエリーザさんと、お揃いにしたくて……」
「まったく……一体これで何個目かしら?」
「これで十五個目です」
即答するサラはどこか誇らしげだ。
受け取らない理由もないし、受け取るけど……妙に擽ったい。
今までこうも親しくしていた『友達』という存在は私には誰一人としていなかったから、どう接していいのか慣れない関係に手さぐりで距離を確かめている真っ最中だ。