私が勝手に決めたことに対して怒っていらっしゃるなら好都合。

 そして知って下さい。サラという一人の少女の、その素晴らしさを。

 これから貴方達は恋に落ちて、この国を支えていく大きな存在になるのだから。問題は、サラの聖女としての力をどう引き出すか……ね。

 でも今は焦らず二人の恋を応援すればいいのよ!――そう思っていたはずなのに、何で私は今……殿下とサラの間に挟まれて校内を回っているのだろう。

「本当、エリーザさんに声を掛けて頂けて嬉しかったです。一人で不安だったので……」

 いやですから、その気持ちに寄り添うのが殿下なんですけど?

「いつもエリーザは皆に気を配れる優しい子だな」

 違うんです。私はただ殿下とサラの間を取り持ちたい、それだけなんです。
 
 何も言えない私に向けられる視線はどうしてこんなに輝きを放ってくるのかしら……。

「そう言えばクラウドさんとエリーザ様の距離が近いようですけれど……?」

「ああ。それは、俺達は婚約者だからな。そういう君もエリーザの腕を組んでいるじゃないか」

「だって私達、友達ですから!」

 なんか背中が凍りつく……疲れているのかしら。