殿下の祝福を捧げる魔法を披露する晴れ舞台は見事に成功し、聖クラチア祭は終わりを迎えた。
一風変わった始まりの日に対して考察する為に早く家へ帰りたかったけど、王宮の庭園のガゼボの屋根の下で……私は逃げられないように殿下に手を握られていた。
昼間に逃げる事を選択したのは間違いだったのだろうかと考えながら、なるべく握られた手に意識がいかないように奮闘しているのをバレないように。
「殿下、その、怪我は大丈夫なのですか?もう今日は早く体を休ませた方がいいかと……」
サラの力は使われていない今回の殿下の傷の深さは計り知れない。このまま悪化してもう二度とこの手を掴んでもらえなくなったらと思うと、心配せずにはいられない。
それに慣れない状況下で、どうしていいのか分からず早く帰りたい気持ちも少なからずある。お互いのために言った提案だったが、殿下は優しく微笑んだ。
「俺の事を心配してくれるなんて、本当にエリーザは優しいな」
「え、えっと」
「今日はどうだ?楽しめたか?」
「は、はい……!」
急に顔を覗かれるようにして話しかけられた私は、肩を震わせながら大きく頷いた。
今まではサラと良い感じになっている所に押しかけたり、しつこく殿下に付き纏ったりしていた私は蔑ろにされていたのもあり、こんなに長く殿下と一緒に居られること自体が幸せいっぱいなのだから。