「……」

「……すみません、喋りすぎました。忘れて下さ」

「会えるかも」

私は椅子からガタッと立ち上がった。


「……え?」


それを聖司くんが信じられないものを見るような目で見る。


「明塚幸徳、会えるかも!」


私はポケットからスマホを取り出して、急いで電話をかける。


「え?…え?」


聖司くんが困惑しながら体を起こす横で、スマホから聞こえてきた声に集中する。


「……あ、お父さーんやっほー今平気?…うん、あのさぁ、明塚幸徳さんって俳優さんいるじゃん?ちょっと会いたいんだけどね、お父さん顔見知り?…うん、うん。パーティー?いつ?今度の土曜日?…うん、おっけーわかったーバイバーイ」


私は通話終了ボタンを押して、まだ動揺してる聖司くんに向き直る。


「土曜日のパーティーに来るからパーティーに私たち招待してくれるってー」


私はへらっと笑ってグッと親指を立てた。


「…………マジかよ」


聖司くんは魂が抜けたみたいに脱力して、ぽてっとベッドに横たわった。