目を開けて横を見ると、まだ目を閉じて手を合わせている聖司くんの横顔があった。

ザァ、と風が吹いて、聖司くんの黒髪が揺れる。


「……」


『きれい』


…なんて。男の子に思うの、変かな。

授業中、隣の聖司くんの横顔を見たことは何度もある。

造形がきれいだな、と思うことはあったけど、今感じた『きれい』はそのときのものとは比べ物にならないくらい胸に迫るものがあって…多分これは、感動に近い。

その静かな横顔から目が離せなくなって、胸の辺りがキュッと切なくなった。


……これ、もしかして、


そこで不意に聖司くんが目を開いたので、私は慌てて視線を外す。


「…では、帰りましょう。0時の見回りまでには戻らないと大変です」

「あっ、そ、そだね!うん」


聖司くんはテキパキと片付けを済ませて来た道を戻り始めるので、私も慌ててその後ろをついていく。