私は持ってきた道具を使って掃除して、お花を生ける。

聖司くんも慣れた手つきで線香に火をつけてくれて所定の場所に供えると、おもむろにさっきコンビニで買ったものを取り出した。


「ケーキがなくて申し訳ないです」


そう言いながら聖司くんは墓前にしゃがみ、カップに入ったプリンをコトリと置いた。

そして目を閉じ、手を合わせる。


……誕生日だから、わざわざ車停めて買いに行ってくれたんだ。

お風呂あがりの、21時。

寮則を犯して、こんな田舎まで来てくれた。

聖司くんからしたら知らない人の、命日でもない、誕生日に。


「……」


私も聖司くんの隣にしゃがみ、手を合わせる。



……お父さん。

誕生日おめでとう。

この人は、私の執事の聖司くんです。

口悪いけど、意地悪だけど、性悪だけど。

……なんだかんだ優しい人だよ。