「じゃ、また来週な!」
セッティングも早かったけど、片付けるのも早い。
シノブはあっというまに自分の機材を片付けて部室を後にした。
あたしとユウはマイペースで片づけ始める。
「ユウ、ドラムすごいね。もう長年叩いてるの?」
「いや、俺、まだ始めたばっかりで初心者だから・・・。」
そうだった。一番最初に会った時にシノブがそんなこと言ってたっけ。
でも、間違いなく初心者とは思えない腕前だった。
黙々と片付けるユウ。
ユウはあたしと同じで人見知りなのかな。
高明くんとは違って、話題がポンポン弾むわけでもない。
・・・だけど・・・
二人きりなのもあるのかもしれないけど、
何か話さなきゃって話題をふろうと頭の中で考えるも、趣味とか何も知らないし、何も浮かばない。
「早く片付けちゃえよ。」
「へぇっ?!・・・・あ、うん」
考えているうちに手が止まっていたらしく、気づけばユウも片付け終えてて、肩にかけられたカバンからスティックが何本か顔を覗かせていた。
あわてて自分の荷物をまとめて、ベースもケースに収め、ひょいっと持ち上げると肩に担いで、ユウに続いて部室を後にした。