あたしもセッティングを終えると、シノブもやってきた。


シノブはとても慣れた手つきでギターをセッティングし終えた。


「じゃあ、始めるか?ユウ、カウントとってよ。」



シノブの声でユウがスティックでカウントを始める。


スティックのカウントが4つめが聞こえたとき、


あたしたち3人の音が一つになった。



シノブの強烈なギターテクニック。

ユウの安定感あるドラム。



その二人の音が予想以上のパワーを放っていたのと、そのパワーの中にあたしが入っていることがたまらず、言葉に出来ない、こみ上げる気持ちがあふれ出して、涙に変わった。


でも、自分の手は止めることはしない。


気づかれないように涙をこらえ、二人のパワーに負けないようにベースを弾いた。


あたしの音も、二人の心に響きますように。


そんな願いを込めて。