部室の前まできてみたが、防音扉のせいか、扉の奥に人がいる気配は感じない。


一番最初にきちゃったかなと思いつつも、重たい扉をゆっくりと開いた。



「おっす。」


なんと一番先に来ていたのはユウだった。


「シノブはまだなんだね。」

「俺もさっき来たところだし、そろそろ来るんじゃね?」

そういいながら、ドラムのセッティングを始めるユウ。


その慣れた手つきにバンドマンらしさを感じながら、あたしも、自分のベースの準備を始めた。



セッティングを確かめているのか、ユウがドラムを叩き始める。

あたしのすぐ横で叩くユウ。

ライブハウスの客席では生ドラム音って聞いたことあるけど、こんなに近くで聞くのはこれが初めてだった。

ユウが叩くたびに体に響く振動。

あたしの体全てにこの響が染みわたるようなこの感じがたまらなかった。