二人の姿が視界に入りかけたとき、
「ねぇねぇ」
あたしを呼び止める声がした。
声がしたほうを向いた。
「1年生だよね?女の子うちらだけみたいだし、仲良くしよ?」
少しピンクがかった髪のかわいらしい女の子。
声かけてくれたことがうれしかったのと同時に、誰かに声を掛けられない自分を情けなく思った。
「うん。よろしくね。このサークル、女の子少ないよねぇ。」
「金髪だったから、先輩かと思って、声かけるのかなり緊張したぁ。」
「あはは。1年だよぉ。」
自分の髪の毛をいじりながらあたしはそう答えた。
彼女の名前はエミ。
歌が好きで、このサークルに入ったらしい。
楽器はまだやったことがなくて、ギターを覚えたいんだとうれしそうに話していた。
あたしとは、学部が違ったので、授業が同じになることはないけれど。
大学でできた、一番最初の女友達。
それぞれ、お互いの自己紹介と、携帯番号交換すると、
「私、このあと授業あるからまたね。」
と、先に校舎の中に消えて行った。