やり直さないことがわかったユウも、シノブに合わせてドラムを叩き始める。
緊張と焦りと両方あったのだろう。
最後の曲が終わる最後の時まで、ユウのドラムはいつに無いくらい失敗ばかりだった。
仕切り直してもう一度叩けていたのなら、ここまでにはならなかったのかもしれない。
ライブが終わり、楽器や機材を引き上げ、楽屋に戻った。
同性なんだし、バンドメンバーなんだから、ユウに「お疲れ」でも何でも一言声をかけてあげればいいのにシノブがユウに声をかけることはなかった。
それから、ユウが楽屋を出て行き、あたしが探し当て、現在に至る。