「はい。オッケーです。それでは本番宜しくお願いします。」
音響から終わりの合図があるとベースのボリュームを下げる。
あたしたちは、出番が一番最初だったのと、リハーサルの一番最後だったこともあって、機材は片付けずそのままにしておいていいという指示だったので、楽器を置いてステージを後にする。
本番前のリハーサルが初めてのステージで弾く場面になった。
いつも練習している部室は、小さい部屋にドラムやらアンプやらいろいろな機材が置いてあり、とても密集した中で行っている。
シノブのギターも、ユウのドラムも。
とても近くで聞こえる。
その点、ライブハウスのステージは、部室よりも広い。
その分、お互いが離れたところで演奏している。
だからかな。
いつもよりも寂しく感じた。